彼女のセカンドライフ


「ビリルビン値が落ちない、糖尿病併発!」

「イライラする!」

「自分の中のがん全て、根絶させる! 完治は望めない⁉ 覆してやるさ! 世界医療が驚くほどに!」
 
はじめのうちは、強い心で臨んでいるのが分かった。

「腹痛が酷くなり、痛み止めの効く間隔が短くなっている。ヤバイな転移してるかもしれない。今日の痛みはほんとにいくかと思った」

症状が酷くなるにつれて、弱気な発言が見られた。

「凪美さんが帰って行った。夜眠るのがこわい。一人になりたくない!」

痛みを堪えながら書いているのか、文字が乱れて行く。

「いつまでこれを書き続けられるだろうか? 死ぬ間際の気持ちを綴れないのが無念だ!」

「若年層のすい臓がんが、稀なケースなら、僕の症例もしっかり調べてほしい! 出来るなら副作用もなく、どんなパターンにも治療可能な、特効薬を作ってほしい! 僕の生命を脅かし、体力も気力も奪って行く〝 がん 〟が憎いけど、僕の、きっと訪れるであろう死は、無駄じゃないと証明してほしい!
そのためなら、この体、惜しみなく、医療に捧げる!」