それから一ヶ月ほど経って、武尊の母親から、凪美子に会いたいと連絡が来た。
会いに行くと、武尊の母は、可哀想なほどやつれていた。息子を失ったことに、必死で耐えているようだった。
それでも凪美子を見ると、
「元気だった? あなたも大変でしょう?」
凪美子を気遣った。
なぜ急に呼び出したか――
入院中、痛みを堪えながら、体力のあるうちに、武尊が綴っていた体調記録、日記が出て来たという。
病室で一人書き記していたのだろう、開いて見ると、その時の体の状態が詳しく書かれていた。
その日、何を投与し、どんな処置を施したか、自分の分かる範囲で、またネットでも調べていたのであろう、症状が出る毎に、それと向き合っていることが伺えた。
それから、その時々の気持ちが、ひしひしと書き込まれていた。



