「勘弁してよ、自分名義のカード返済に充てようと思ってるのに」
背中向けたまま武尊は言った。
すでに武尊名義のカードは持っていたもの全て、カード破棄に追い込まれていた。
それほど両親が荒使いを繰り返していた。
父は強く言えない。自分もずっと、若い時から貧しい環境で生きて来たから言えるはずもなかった。
しびれを切らし、母がやって来て、決め台詞を言って奪って行く、
「お前達を大学までやって、どれほどのお金をつぎ込んで来たか、溝に捨てたようなもの、親が困っているのに、助けたいと思わないのか! 上二人もあんたの年にはすでに出してくれてた!」
そう言われたら言い返す言葉もなく、泣く泣く渡していた。



