武尊のことが、後押しをしたのもあり、凪美子は予てから考えていたことがあった。
亡くなった父が住んでいた郊外の、大きな家で、武尊と一緒に暮らすことだった。
そこなら、比較的病院も近い、父が病に倒れてから、そこで生活していたため、バリアフリー仕様にもなっていて、車椅子の移動も可能だった。
武尊の家族とも話し合い、何より、武尊が一番望むことをしてあげたかった。
武尊もそれを望んだ。
そこで凪美子と新しい生活が始まった。
もちろん、武尊の家族も毎日来て、時にそこに泊まり、まるで毎日旅行気分だった。
武尊は幸せだった。
天気の良い日には、テラスから暖かな日差しが入り、二人並んで座って外を眺めた。



