「今だから言いますけど、僕ね、初めて岡本さんを見た時、ちょっと惹かれてました」
武尊は照れながら言った。
「えっ⁉ そうだったの? 言ってくれればよかったのに~」
まんざらでもないように、紫が笑って言った。
「そうなの!」
凪美子が、冗談で武尊を睨んだ。
「でもそうなったら、のちに武尊君は社長のこと好きになるから、私達ドロドロな三角関係になってかも!」
紫がよりその場を盛り上げた。
この時なんでもない会話が、武尊にはかけがえのないものに感じていた。
横を見れば、小さな秀奈が懸命に折り紙を折っている。それを優しく見つめる紫。
自分の傍には、大好きな凪美子がいた。
「う~っ!」
突然、武尊がお腹を押さえて、うめき声を上げた。
耐えられないほど痛み。
モルヒネを打たれ、そのまま気を失った。



