彼女のセカンドライフ


ホスピスに移ってからも、痛みは押し寄せて来た。

武尊自身も、痛み止めの効いている感覚が、短くなっているのが分かった。

空はどんよりしていた。

天気と同じように、武尊の気持ちも沈んでいた。

そこへ、ドアを叩く音がして、誰かが入って来た。

見ると、凪美子と秀奈の手を引いた、紫達が見舞いに来てくれた。

秀奈は、変わり果てた武尊を見て、少し怖がっているようで、紫の足元から顔を覗かせ、武尊の方を見ていた。

「秀奈ちゃん、来てくれたの?」

優しい武尊の声と笑顔が、秀奈にも伝わったのか、大きく頷いて武尊に近付いて行った。

ベッドにいる武尊の横に座り、一緒に折り紙を始める。

凪美子と紫とたわいもない話をしながら。