彼女のセカンドライフ


そればかりか、世間体だの、周りの目だのと言葉で追い詰め、親でありながら、息子の幸せも考えず、ただ正論をかざして、自分の気持ちを優先させていたこと。

それに付け加え、治療のことですら、その時の息子の気持ちを余所に、緩和治療の方向も提案されていながら、少しでも長く生きてほしいと思う、家族の、母の思いを背負わせ、苦しい治療に臨ませ、結果、武尊がこんな状態になってからやっと気付く。
 
遡れば、がんが発覚するまでの間、お腹を押さえる、食欲がないなど、その予兆があったかもしれない息子に、借金のことや忙しさにかまけて、寄り添ってやれず、互いにすれ違う生活になり、顔を合わせることも少なくなり、黄疸症状が出ていたことさえ気付いてやれなかったと、後悔など、母親として失格だと、今までの気持ちを吐露した。