「夜は嫌い。眠ったらこのまま死んでしまうかもしれない。凪美さん! 僕まだ死にたくない! もっと生きたい! 苦しさも痛みも耐えて治るなら、いっぱい我慢するから! 神様! 僕はもっと生きたいです!」
心の中で叫びながら、静まり返った病室で、一人ベッドの上で、体を揺らし、武尊は嗚咽を漏らした。
「今打っている、痛み止めが効かなくなったら、もう次はモルヒネしかありません」
家族に主治医は言った。
鎮痛剤が切れれば、止むことがない痛みが押し寄せてくる。
武尊の体は休まる時がなかった。
一人窓の外を見つめながら、武尊は、余命宣告された日のことを思い出していた。
主治医の言葉が頭を過る。
「春を越せるかどうか、持って三ヶ月、施しようがなく、完治は見込めません」
――完治は見込めません。
見込めません――見込めません……
ません……せん……



