彼女のセカンドライフ


消化液である胆汁が、胆管に留まった時、痒みが出現することは、昔から知られていた。

胆汁酸が直接神経を刺激する、それがその元となるものを作り出すから、など言われているけれど、その原因については、ほとんど明らかにされていないのが現状。

その最大の理由は、条件に適っている、実験に使える動物がいなかったからだと。

「全ての思いを察してあげられなくて、申し訳ない」

常に武尊に寄り添う主治医。

それから武尊は、ビリルビン値が下がるのを待ちながら、血糖値も下げるため、食事制限をし、時にはインスリン注射をすることもあった。

また、抗がん剤治療に備えて、CVポート手術が行われた。

CVポート手術とは、ポートという、円盤状の形で、大きさは直径二、三センチほどのものを、胸部皮膚に埋め込み、ポートに繋がっているカテーテルを、心臓の近くの中心静脈まで到達させるもの。