「私ずっと見てたのよ? 英君の様子」
笑顔を浮かべながら凪美子は言った。
武尊はハッとなった。あの時の向かい側から感じた視線は凪美子だと分かり、
「すみません。あの時はとにかく食べたら帰ろうって、それしか考えてなかったので」
苦笑いしながら武尊は俯いた。
武尊にとってちょっと分が悪い再会。
こんな時でも凪美子は、堂々としていた。
すると、昼食を終えた学生達が、続々と戻って来た。そして特に女子が、カームクロのブースに入って来る。
凪美子達は学生たちを誘導し始めた。
武尊は一礼して、他のブースへと消えて行った。その後ろ姿を、誘導しながら、凪美子は見送った。



