「すい臓がんは、早期発見は本当に難しいんです。医療も今、どうすれば早期発見に繋がるか、必死に探している所です」
「分かってますよ先生。誰のことも責めてないし、責めようがない。ただ実感がなくて、痛みさえ取れたら終わるって思いたいのに、これが現実なんだって」
武尊の言葉通り、現実はそう甘くはなかった。
ビリルビン値も下がらないどころか、糖尿病まで併発した。
そのせいで抗がん剤治療に進めないでいた。
思うように行かず、イライラして家族に八つ当たりすることもあり、心がやさぐれた。
約一週間ほど、やっと絶食から解放され、ゼリーを食べられるようになり、お粥へと昇格し、食べられるという喜びを噛み締めていた矢先、今度は糖尿だなんて、やり切れない思いだった。
