聞けば、このブランド、彼女自身が創立者で、デザイナーでもあった。
改めて企業の社長として、凪美子から挨拶をされ、慌ててぎこちなく武尊も挨拶をした。
その初々しさに、思わず凪美子は微笑んだ。
先ほどの女性も、ここの従業員で、凪美子の秘書だとか。
その彼女から、
「初めまして、カームクロ秘書の、岡本(おかもと) 紫( ゆかり)と申します、先ほどはありがとうございました」
涼しい笑顔で挨拶された。
「あ、いえ、とんでもないです」
恐縮しながら武尊は言った。
岡本は、凪美子に先ほどの経緯を話すと、
「そうだったの~」武尊を見ながら凪美子は言った。
「まさかあの時の、蓮見さんが、カームクロの社長だなんて……」
武尊はまだ信じられないと言った感じだった。
「あら、自己紹介の時に、私話したんだけど」
凪美子はその時の武尊が、人の話も聞かず、ひたすら食事をしていたと、指摘した。



