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「書店に来るのなんて何年ぶりだろ……」


学校からほど近い本屋を目にしてアケミはそう呟いた。


小学生時代には漫画雑誌を買いに毎月書店へ立ち寄っていたけれど、今では必要なくなってしまった。


どうしても欲しい本があればネットで買う。


近くのコンビニで支払いができるし、商品は家に届くし、便利だった。


千夏に急かされるようにして店内へ足を踏み入れると、紙やインクの匂いが鼻をくすぐった。


なんだか懐かしい匂いだ。


「あ、あれだ!」


店内に入って一番目立つ場所に、ピート君を組み立てられる雑誌がおかれていた。


随分と人気があるようで4列で平積みされている。


「やっぱりピート君は可愛いよねぇ」


千夏が雑誌の前で立ちどまってそう言った。