ドールが戻って来てしまった。


それは二人にとって死刑宣告のようなものだった。


「あの時、ちゃんと全部焼いたよね……」


そう言ったのはアケミだった。


ふたりはアケミの部屋へ戻ってきていたが、そのテーブルには二体のドールが置かれていた。


千夏があの後家に戻ってみると玄関にドールが座っていたのだ。


「うん。黒こげになって、跡形もなく消えたはずだよ」


千夏が震える声で言った。


ふたりの頭の中からは、すでに涙のことなんて忘れ去られていた。


「じゃあどうして、こんな形で戻って来たの!?」


突然、アケミが奇声を上げる。


「そんなこと言われても、あたしだってわからないよ」


パニックになっているアケミを落ち着かせるため、千夏はできるだけ冷静な口調で返事をしている。