「こら、翠」
母が眉をひそめて注意しようとすると、豪が無駄にフォローしてくる。
「はは、大丈夫です。僕はたまに趣味で作りますので、結婚したらふたりで協力して料理しますよ」
うえぇ、あんたが料理?できるの?はいはい、できそうね!なんでもできるもんね!
っていうか、そういう言い方されると引き下がれなくなるんですけど。料理くらい私だって……。
言葉を探して顔をしかめていると、豪が続けて言った。
「翠さんとお母さんの手料理をぜひご馳走になりたいんですが、この後実家に顔を出す約束をしてしまいました。母も何か作っていると思います。おふたりの手料理はまた次の機会に」
「あらそう、それなら仕方ないわ。そうそう、それならお母様に……」
母はケーキもそこそこに豪の実家にお土産を包みにキッチンに向かった。この前、お取り寄せしたメロンゼリーをおすそ分けするつもりなんだろう。
「翠、よければ俺の実家に来る?母親は喜ぶと思うけど」
ぜっっったいいや!!と思ったけど、それは豪に対してであり、脳裏によぎった豪のお母さんのほんわかした笑顔に強い拒否ができなくなる。
豪のお母さんは斎賀の人間ではなく、お父さん共々外務省勤めのバリキャリだ。その割に『おっかさん』といった柔らかな雰囲気の人なのだ。豪はムカつくけど、豪のご両親は嫌いじゃないもの。
「ざっ残念だけど、また今度にするわっ。お母さんによろしく伝えて!お父さんにもっ!」
顔を引きつらせて言う私を豪が笑いをこらえながら見ていた。
母が眉をひそめて注意しようとすると、豪が無駄にフォローしてくる。
「はは、大丈夫です。僕はたまに趣味で作りますので、結婚したらふたりで協力して料理しますよ」
うえぇ、あんたが料理?できるの?はいはい、できそうね!なんでもできるもんね!
っていうか、そういう言い方されると引き下がれなくなるんですけど。料理くらい私だって……。
言葉を探して顔をしかめていると、豪が続けて言った。
「翠さんとお母さんの手料理をぜひご馳走になりたいんですが、この後実家に顔を出す約束をしてしまいました。母も何か作っていると思います。おふたりの手料理はまた次の機会に」
「あらそう、それなら仕方ないわ。そうそう、それならお母様に……」
母はケーキもそこそこに豪の実家にお土産を包みにキッチンに向かった。この前、お取り寄せしたメロンゼリーをおすそ分けするつもりなんだろう。
「翠、よければ俺の実家に来る?母親は喜ぶと思うけど」
ぜっっったいいや!!と思ったけど、それは豪に対してであり、脳裏によぎった豪のお母さんのほんわかした笑顔に強い拒否ができなくなる。
豪のお母さんは斎賀の人間ではなく、お父さん共々外務省勤めのバリキャリだ。その割に『おっかさん』といった柔らかな雰囲気の人なのだ。豪はムカつくけど、豪のご両親は嫌いじゃないもの。
「ざっ残念だけど、また今度にするわっ。お母さんによろしく伝えて!お父さんにもっ!」
顔を引きつらせて言う私を豪が笑いをこらえながら見ていた。



