「仕事も休日も一緒だなんて、お互いストレスが溜まるだけよ。妙な誘い方しないで」
「翠、どうして意地悪なんだい。おまえは」
「照れちゃうのよ。豪くんとふたりで私たちと話してると」
うちの両親は豪がお気に入りだ。私と豪の仲がイマイチなのも、『そのうち夫婦になるんだし。照れてるだけ』と楽観的な目で見ている。
豪も我が家に来ると、常ににこやかで両親と積極的に話をするので、気に入られる婿の要素はたっぷりなのだ。
私はフルーツロールをぱくぱく口に運びながら肘で横の豪を小突く。ちらんと見上げ『これ食べたら帰んなさいよ』と目で伝えるけれど、豪はうっすら見下したように笑うだけ。
こいつ、どこまでも私をからかいたいようね!
「そうだわ。よければお夕飯も食べていって。これから翠と作るから」
母がとんでもないことを言い出した。ちょっと待ってよ。まだ3時過ぎよ。夕飯まで何時間こいつを引き止めるつもりよ。
それに私、夕飯なんて作れないわよ。日頃、コロッケの衣をつけるとか餃子の餡を皮に包むくらいしか手伝ってないわよ!
「翠さんの手料理かぁ。僕、まだ食べたことがないんですよ」
私主導で料理なんか無理だってば。っていうか、『食べてみたい』って空気を出すんじゃないわよ、豪。一ミリもそんなこと思ってないくせに!
両親がそろって笑いながら答える。
「残念ながら上手には作れないだろうな」
「私が甘やかしちゃって、あんまり手伝いさせなかったからなの。豪くんのお嫁さんになるまでに、修行させるからね」
おぞましいアットホームなやりとりに身震いしながら私は話に割り込んだ。
「私、料理は食べる専門だから。作らないから」
「翠、どうして意地悪なんだい。おまえは」
「照れちゃうのよ。豪くんとふたりで私たちと話してると」
うちの両親は豪がお気に入りだ。私と豪の仲がイマイチなのも、『そのうち夫婦になるんだし。照れてるだけ』と楽観的な目で見ている。
豪も我が家に来ると、常ににこやかで両親と積極的に話をするので、気に入られる婿の要素はたっぷりなのだ。
私はフルーツロールをぱくぱく口に運びながら肘で横の豪を小突く。ちらんと見上げ『これ食べたら帰んなさいよ』と目で伝えるけれど、豪はうっすら見下したように笑うだけ。
こいつ、どこまでも私をからかいたいようね!
「そうだわ。よければお夕飯も食べていって。これから翠と作るから」
母がとんでもないことを言い出した。ちょっと待ってよ。まだ3時過ぎよ。夕飯まで何時間こいつを引き止めるつもりよ。
それに私、夕飯なんて作れないわよ。日頃、コロッケの衣をつけるとか餃子の餡を皮に包むくらいしか手伝ってないわよ!
「翠さんの手料理かぁ。僕、まだ食べたことがないんですよ」
私主導で料理なんか無理だってば。っていうか、『食べてみたい』って空気を出すんじゃないわよ、豪。一ミリもそんなこと思ってないくせに!
両親がそろって笑いながら答える。
「残念ながら上手には作れないだろうな」
「私が甘やかしちゃって、あんまり手伝いさせなかったからなの。豪くんのお嫁さんになるまでに、修行させるからね」
おぞましいアットホームなやりとりに身震いしながら私は話に割り込んだ。
「私、料理は食べる専門だから。作らないから」



