駐車場で局長とは別れた。今日、私の送り迎えは豪がやってくれている。
豪の車の助手席に乗るのは、過去何度か経験があるけど、緊張しないわけじゃない。ほら、豪に特定の彼女がいるなら、私の痕跡を残しちゃダメじゃない。いや、別にいいのか。その彼女は豪に許嫁がいることを知って付き合ってるんだろうし。許嫁の存在を隠す豪じゃないだろうし。
それにしたって、ここ数年は豪に彼女らしき存在を確認できないんだよね。学生時代みたいに特に決まった彼女はいないのかな。
まあ、私には関係ないことですけれど。
「じいさんの言うこと、真に受けるなよ」
不意に豪が言った。なんのことかと一瞬わからなかったけれど、先ほどの会食の件だと理解する。
「ああいう言い方をされて不快だろ」
「まあ、子どもをばんばん産むマシンだとは思われてるわね。斎賀本家量産計画」
皮肉交じりに自分で言った言葉にちょっと嫌な気分になる。
「あの年代だから……じゃないな。じいさんの性格だ。自分が一番、自分の血統が一番。人生かけて一族にマウントを取り続けてる。俺も翠も、じいさんの駒のひとつ」
「ある意味、斎賀のトップに相応しい気質かもね」
局長も豪もきっとあんな風にはならない。私は斎賀という一族は嫌い。産まれた時から斎賀だから、親族間の面倒くささになれているだけで、うっとうしいことには変わりない。
でも局長や豪が斎賀の因習みたいなものを変えていけたらいいんじゃないかなとは思う。
豪の車の助手席に乗るのは、過去何度か経験があるけど、緊張しないわけじゃない。ほら、豪に特定の彼女がいるなら、私の痕跡を残しちゃダメじゃない。いや、別にいいのか。その彼女は豪に許嫁がいることを知って付き合ってるんだろうし。許嫁の存在を隠す豪じゃないだろうし。
それにしたって、ここ数年は豪に彼女らしき存在を確認できないんだよね。学生時代みたいに特に決まった彼女はいないのかな。
まあ、私には関係ないことですけれど。
「じいさんの言うこと、真に受けるなよ」
不意に豪が言った。なんのことかと一瞬わからなかったけれど、先ほどの会食の件だと理解する。
「ああいう言い方をされて不快だろ」
「まあ、子どもをばんばん産むマシンだとは思われてるわね。斎賀本家量産計画」
皮肉交じりに自分で言った言葉にちょっと嫌な気分になる。
「あの年代だから……じゃないな。じいさんの性格だ。自分が一番、自分の血統が一番。人生かけて一族にマウントを取り続けてる。俺も翠も、じいさんの駒のひとつ」
「ある意味、斎賀のトップに相応しい気質かもね」
局長も豪もきっとあんな風にはならない。私は斎賀という一族は嫌い。産まれた時から斎賀だから、親族間の面倒くささになれているだけで、うっとうしいことには変わりない。
でも局長や豪が斎賀の因習みたいなものを変えていけたらいいんじゃないかなとは思う。



