スポーツクラブか。情報では、長親はスポーツクラブに毎日通っている。定年を迎えた男性が健康維持に昼間のスポーツクラブを日課にするのはよくある話だ。
「スポーツクラブ内で接触か。しかし、ランニング中やマシンを使っている最中にわざわざ近づけば目立つ。監視している人間が内部まで入っていれば不審に思うだろう」
「長親健三郎が退官してから一年以上が経っているわ。監視の目は多少緩んでいるんじゃないかしら。まして、日課のスポーツクラブでしょう?中まで入って見るかしら?」
翠の言うことは俺も考えた。臭いものに蓋をされた状態の長親を鬼澤が見張るのは当然でも、一生続けることはしないだろう。事務次官の任期中がせいぜい。さらには見張りについているのは鬼澤の部下ではなく懇意の暴力団関係者だ。鬼澤の意志ほど正確に監視していないのではないか?来客や会食には目を光らせていても、日常はどこまで監視されているかわからない。
「もちろん、持ち物に盗聴器がしこまれてるってことはあるかもしれない。念には念を入れるから接触の方法は慎重にするけれど」
「それじゃあ、こういうのはどうだ?」
俺の提案に、翠はしばし考え頷いた。飲み込みが早いのは助かる。
「スポーツクラブ内で接触か。しかし、ランニング中やマシンを使っている最中にわざわざ近づけば目立つ。監視している人間が内部まで入っていれば不審に思うだろう」
「長親健三郎が退官してから一年以上が経っているわ。監視の目は多少緩んでいるんじゃないかしら。まして、日課のスポーツクラブでしょう?中まで入って見るかしら?」
翠の言うことは俺も考えた。臭いものに蓋をされた状態の長親を鬼澤が見張るのは当然でも、一生続けることはしないだろう。事務次官の任期中がせいぜい。さらには見張りについているのは鬼澤の部下ではなく懇意の暴力団関係者だ。鬼澤の意志ほど正確に監視していないのではないか?来客や会食には目を光らせていても、日常はどこまで監視されているかわからない。
「もちろん、持ち物に盗聴器がしこまれてるってことはあるかもしれない。念には念を入れるから接触の方法は慎重にするけれど」
「それじゃあ、こういうのはどうだ?」
俺の提案に、翠はしばし考え頷いた。飲み込みが早いのは助かる。



