不本意ですが、エリート官僚の許嫁になりました

土曜、私の誕生日がやってきた。

別に毎年祝えなんて言ってない。学生時代は祭と豪と三人でファストフードを食べに行ったり居酒屋に行ったりしたくらい。
社会人になってから、『お誕生会』を企画されるのは初めてだ。

私は一応、ワンピースを着た。母と買い物に行くいつものお店で、ボーナスを使ってちょっとだけ普段より値の張るものを買った。

雑誌を見たり調べたりはするけれど、私はおしゃれな方ではない。メイクも服も、人並に見えるよう工夫しているだけ。武装するほど盛れないし、盛り方もわからない。

そんな私はこれでもお嬢さんの端くれ。プチプラで可愛くではなく、ある程度のお値段のするものを着ることで、相応感を出している。
シーズンに数着、厳選して買うだけだけれど、斎賀の本家に呼ばれたりするときはそれなりの格好をしなければならないもの。

だからわざわざ誕生会のために、ボーナスでワンピースを買うなんて、我ながらなかなかの気合いだ。相手はいつもの豪と祭なのに。