不本意ですが、エリート官僚の許嫁になりました



『翠お誕生会計画』

私の誕生日が迫った七月、祭からそんな連絡がきた。わざわざ、私と豪を交えたメッセージグループを作り、そこにこんな文言が並ぶのだ。

『日時:次の土曜、17時
場所:豪のうち
ごはん担当:俺
飲み物担当:豪
楽しむ担当:翠
プレゼント:俺と豪それぞれ』

昼休みにメッセージを受け取った豪が私に言う。

「あいつ、色々勝手に決めてきたぞ。いいのか?翠」

誕生日を祝えと言ったのは私だけど、豪の家でパーティーをしようとは言っていない。

「私はいいけど、豪の家使われちゃうよ」
「まあ、俺の家はいいんだ」

豪は歯切れが悪い。もしかして、豪は豪で私の誕生日を祝う算段をつけてたのかな。そうだとしたら嬉しいんだけど。

「きっと祭が美味しいもの色々用意してくれるんだよ。豪がいいなら、豪のうちで、ふたりで祝ってよ」

私が明るく言うと、豪は頷いた。
もし、豪がふたりきりを考えていたなら、嬉しいと同時に戸惑ってしまう。豪と距離が近づいているだけに、このまま一緒にいたらいろんな意味で接近してしまいそう。
それはいいことなんだろうけど……うーん、単純に私の心の準備が全然できてない。
祭にありがとうと返信してから顔を上げる。