豪からは着信がきていたようだ。メッセージもあった。

『大丈夫か？送る』
『携帯、繋がらないぞ』
『連絡しろ』

命令口調、と思いつつそのメッセージを見た夕方に渋々返信した。

『貧血だったみたい。タクシーで帰って寝てた。心配かけてごめん』

メッセージはすぐに既読がつき、『よく寝ろ』というまたしても命令口調の返事がきた。
それ以上やりとりする気はなく、私は携帯を充電機に繋ぎ放置した。

食欲が湧かない。お昼も食べてないし、夜も食べられそうにない。食いしん坊の私にしては大事件だ。
私、本当にどうしちゃったんだろう。

風間さんは豪の家にお泊りしていたのかな。あんなタイミングで出会っちゃったらそれってもう証拠じゃない？
豪はきっと否定する。豪の言うことを疑わずに素直に頷くのが婚約者の務め？騙されてあげるのもいい奥さん？

頭の中がぐるぐる。結局私は豪を信じ切れていないのだ。

そして、何が一番ショックって、豪と風間さんの関係にめちゃくちゃ打ちのめされている自分。私は嫌なんだ。豪が他の女性に触れるのが。私にしたように優しく抱きしめるのが嫌なんだ。
それは、私の特権でなければ駄目。

私……豪のこと好きなのかな。

混乱しすぎて気持ち悪くなってきた。
なんかお腹も痛い。あれ？身体がおかしい。気持ち悪い。
フラフラ起き上がると、私はトイレに直行しそのまま全部吐いた。