「ニヤニヤしないの!」
「えー、それはムリ」
口元が緩みっぱなしの宏平のほっぺたを思い切り引っ張る。
「いひゃいっへ!」
「ごめんなさいは?」
「ごめんなひゃい」
シュンとなった宏平を見て手を離す。
宏平は待ってましたとばかりに、私を椅子からおろし、自分の足の間に私を座らせた。
「なっ、何よ……」
私がそう言うと、だって……と言葉を続ける。
「俺に全然かまってくれねーもん」
「……はぁー!?」
私が素っ頓狂な声を出すと、宏平はいう。
「せっかく一緒に居るのに、……なんか寂しいじゃん」
……恥ずかしげもなく言ってるのはどっちなんだろう。
そうだ、そうなのだ。こいつ昔からこういう節がある。
思ったことを思ったように言うんだよね?
分かる、分かるんだけどさ……。
恥ずかしい。ただただ、恥ずかしい。
「つか、何回呼んでも無視とかひどくね?」
「え、いつ呼んだの?」
「気づいてすらなかったのかよ!?」
私が頷くと、「俺かわいそう」とか一人で言ってる。
「一紗、好きだよって言っても無反応とかかわいそうだろ?」
それを聞いて顔が赤くなっているということが自分でもわかった。
