19話「スイートルームでお説教を」





 泊まるホテルの前に車を泊めると、千春は荷物を持ちながら車を降りた。
 東夫妻はこれから用事があるとの事で、そのまま別れる事となった。


 「本当にありがとうございました。助かりました。」
 「いいのよー。困った時はお互い様なんだから。」
 「頑張って。また、何かあったら連絡して。」


 そう言って東からホテルのカードキーを渡さる。千春はそれを持ちながら2人を見送った。


 そして、ホテルを見上げる。とても立派な建物で、高級ホテルで有名な場所だった。
 千春が荷物を持っているとボーイがすぐに近寄って荷物を持ってくれる。


 「ありがとうございます。このお部屋なんですけど……。」

 
 カードキーを見せると、そのスタッフは笑顔で「ご案内致します。」と歩き出した。

 「こんな立派なところに泊まるなんて………。」と、千春は驚きを隠せないまま、その後をゆっくりと歩いた。

 
 案内された場所は、最上階のスイートだった。スイートの中でも、ライクがかなり上の部屋だというのがすぐにわかった。


 「荷物はこちらでいいですか?」
 「はい。ありがとうございます。」


 スタッフは荷物を置いた後、「ごゆっくりお過ごしくださいませ。」と優雅に一礼すると、部屋から出ていった。

 大きなシャンデリアの光りに包まれて輝く家具やインテリア達はとても豪華で、どこかの宮殿にいるようだった。
 立派なソファには、見慣れた彼のスーツが乱雑に置いてあった。