15話「笑顔と涙の報告」





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 晴れて、無事に付き合う事になった出と立夏が、千春と秋文の家に報告をしに来ていた。
 千春は嬉しさのあまり、目に涙を溜めていた。

 「俺と立夏は、付き合う事になった。いろいろ迷惑かけてすまなかった。」
 「~~~!!良かったねー、出ー!!立夏も、幸せになってね。」
 「……結婚したわけじゃないんだけど。」
 「それもきっとすぐに報告にくるさ。」
 「………出、今付き合ってばかりなんだけど。」
 「本当に上手くいくのか、この2人は。」


 秋文は不安そうにしていたけれど、千春はきっと上手くいくと確信していた。
 出がずっと片想いをしていた相手だ。
 そして、親友としても大切にしていた人。出がそんな相手を手離すわけがなかった。
 
 後は、立夏が逃げ出さないか、だけれど、それも心配なさそうだね……と、彼女の幸せそうに微笑む表情を見て、千春は感じとっていた。


 「この4人が、それぞれ付き合うなんて……学生の頃では考えられなかったね。」
 「………考えてなかったの、おまえらだけだろ。」
 「………そういう事になるな。」
 「しょ、しょーがないよね!若いときの好きなタイプは憧れとかあるし、ね。」
 「確かにねー……憧れだったのかなぁー。」


 よく考えてみれば、男性2人はそれぞれ片想いをしてくれていて、女性2人は見向きもしなかった事になる。
 千春は申し訳ないなーと思いながらも、そんなにも長い時間片想いしてくれるほど、愛してくれていたのが、嬉しくもあった。