「でも、付き合い始めた2人を見たら、なんか安心したの。お似合いだし、やっぱり私じゃダメだったってわかったから。……まぁ、1回は千春に当たっちゃったけどね。」
 「………あの、元彼のところに行ってしまった時か?」
 「そう……。あれは、私の気持ちが入っていてしまっていたわ。」
 「……あれはあれで伝えた方が良かった事だと思うよ。きっと、秋文も嬉しかったと思う。」
 「そう、だといいけど。」


 立夏は、照れを隠しながらもニッコリと笑うと、出も安心したようにつられて微笑んだ。


 そんな彼を見て、立夏は思った。

 こんな事までわかっていても、自分に告白し続けた出の気持ちがわからなかった。


 未練がましく、秋文のような男性と付き合い、失敗を繰り返していくのは、自分でも愚かな事をしていたと思う。
 そんな自分を見ていても、好きだと言い続けてくれる。
 彼の気持ちが大きすぎて、立夏は心配になってしまう。

 彼に愛される資格があるのだろうか、と。


 「出は、何回も告白してくれるけれど、私は出に愛してもらえるような女じゃないと思うよ。」
 「そんな事ないさ。さっき、告白した時に言ったように、魅力的なところがたくさんあるよ。」
 「でも………。」
 「親友の気持ちを大切にして、自分の気持ちを諦めるなんて、なかなか出来ないよ。」
 「それは、私に勇気がなかっただけだよ!」
 「上手くいかないとわかっている恋愛を、諦めるのも勇気がいるだろう?」
 「………っっ、出は本当に私に甘すぎるよ。」


 止まったはずの涙が、彼の言葉を耳にした瞬間、また次々に溢れ出してきた。
 それを出は丁寧に指ですくってくれる。