何をやっていたのだろうか。
 出が目の前からいなくなろうとして、やっと気づいたのだ。

 
 自分のバカな行いと、気持ちに気づいた時。
 立夏は、ポロポロと涙が流れてきた。
 日付けが変わるまで、あと15分しかない。
 

 「なんで、来てくれないの……出。私のこと、好きだって言ってくれていたのに。どうして、今、来てくれないの?」


 わんわんと涙を止めずに、喘ぐように言葉を紡ぎ、泣き続けた。
 
 すると、家の外の廊下をゆったりと歩く足音が聞こえてきた。その音はどんどん近づいてくる。

 立夏は、ハッとしてベットから立ち上がり、泣き顔のまま部屋を飛び出した。

 他の人だなんて考えもしなかった。
 部屋の鍵を開けて、勢いよく玄関の扉を開けた。


 「っっ………!」
 「おっと……、ダメじゃないか、こんな夜中にいきなりドアを開けたちゃ……って、立夏?どうしたんだ?なんで、そんなに泣いて………。」
 「………出……っっ!」


 立夏は、気づくと出に抱きついていた。
 彼の顔を見た瞬間、安堵した気持ちと、切ない気持ちと、会いたかったという気持ちが一気に押し寄せてきたのだ。
 

 出は突然の事に、驚いているようでしばらく「立夏?どうした?」と聞いていたけれど、立夏が泣き続けているとわかると、優しく抱きしめて頭を撫でてくれた。
 何も言わず、ただただ優しく立夏が落ち着くのを待っていた。