立夏に見せた写真の女性は、千春の友人だった。作戦実行のために手伝ってくれたのだ。そして、既婚者だ。
 だから、彼女とデートをするわけもなく、千春と友人、そして出の3人でお茶をしただけだった。

 立夏の気持ちを知りたいのは、前々から思っていた事だ。告白しても断られているのだから、自分の事は好きにならないの、もうわかっていた。

 けれど、秋文と千春が付き合うようになって、出は少し期待してしまったのだ。
 千春は、秋文に好意を全くもっていなかった。それなのに、あんなにも秋文も好きになり、幸せそうに笑うのだ。
 もしかしたら、立夏も同じように気持ちを変えてくれるかもしれない。
 彼女が振り向いてくれるかもしれない、と。


 けれども、彼女は相変わらずに出の告白を断りつづけた。


 そして、今度は彼女に嘘をついてまで、彼女の気持ちを確認使用としている。


 「ますます嫌われないか………?」


 そんな不安が頭をよぎる。
 
 今回、告白をして断られたら、きっぱりと諦めよう。そして、四季組の親友として一生付き合っていくのだ。

 それだけは、どうしても続けたかった。
 出の大切な居場所だから。


 「立夏だって、始めは我慢してたんだ。俺も、完全に諦めなきゃいけない日が来たんだろうな。」

 そう、立夏も辛い経験をしているのだ。
 あんなにも彼を想っていたのに。


 「嘘はだめだな。ちゃんと謝ろう………告白した後に。」

 
 今すぐに謝れない自分は弱いな、と思いながら、出はため息をついた。

 立夏の誕生日はもうすぐだ。

 彼女に会えるというのに、こんなにも切ない気持ちになるのは、もう何回目だろうか。
 そんなことを、考えながら出はゆっくりと目を閉じた。