「はぁー………本当に心配してるんだからな。」
 「そんな事言ったら、秋文の方が有名人だし、かっこいいから美人の女の人とかに声掛けられてないかなぁーって思ってるんだよ。」
 「俺はおまえだけが好きだって言ってるだろ。昔からずっと片想いだったんだからな、奥さん。」
 「っっ!!ずるいよ……。私だって秋文だけが好きだよ。」


 秋文の急な甘い言葉に、千春はドキリとしてしまい、照れてしまうのを誤魔化しながら、自分からも告白してしまうと、秋文は嬉しそうに微笑んだ。


 「それを聞いて安心した。」
 「っっ…………。」


 その笑顔がとても優しく、そして安心してニッコリと満面の笑みを見せた秋文を見た瞬間。
 千春は、抱きつきたくなる衝動に駆られた。
 それぐらいに、魅力的で千春の大好きな表情だった。


 「……なんか、今日の秋文はいつもよりドキドキする。」
 「それは千春だろ。浴衣と湯上がりのほんのり赤い肌は、色気がヤバイだろ。」
 「え………そういう事じゃなくて。」
 「隣に座ってる時から、おまえの色気にやられてたよ。」
 「……あっ………。」


 秋文に腰に腕をまわされて、そのまま引き寄せられてしまう。そして、秋文は千春の首筋に唇を落とした。
  

 「アップにした髪から見える首筋とか、浴衣の隙間から見える肌とか……。本当にやらしい……….。」
 「それは秋文の方だよ?浴衣似合いすぎて、色気がいつもより増しててドキドキしてたんだよ。」


 耳元で囁かれ、千春は体を震わせながら彼に体を寄せてしまう。そうしないと立っていられなくなりそうだったのだ。
 それぐらいに彼を求めて我慢していたのだろう。彼の熱を感じた瞬間に、一気に体が疼いてしまう。千春は自分でも重症だな、と思った。