彼氏以上、オット未満

「うん、たぶん平気かな」


裕和は佳奈子さんに微笑むと、私に向き直った。


「恵、浦野と仲直りしたいんだったら、マンション目の前の公園に行ってこい。


浦野を、一人でさみしく缶ビール飲んでる、怪しい男にすんな」


「え?」


「俺たち、買い物帰りに浦野とすれ違ったんだ。


あいつ、すげー落ちこんでた。


お前ら、好きあってるのに離れるなんて、おかしくないか?


結婚には勢いも大切なんだから、今こじれたら一生後悔すんぞ」


もし、昴と別れたら。


確実に一生後悔するって、自信をもって言える。


「裕和、佳奈子さん、ありがとう」


「いいって、早く浦野のとこ行ってこい」


「恵ちゃん、私たちはずっと、ふたりの味方だからね」


ふたりに見送られ、夕日が沈みかけてる高台の公園に足を踏み入れた。


あたり一面、オレンジ色に染まっている。


屋根のあるベンチにもオレンジの光がさしこんでいて、昴の輪郭はあったかそうに見えた。


「昴」


声をかけると、昴はゆっくり振り向いた。


「メグ」


数秒の沈黙のあと、お互いに一歩ずつ歩み寄った。


まるで、今日できた溝を埋めるみたいに。