1階にある昇降口から、3階にある2年生の教室まで一緒に行くのが、私たちのなかで当たり前だ。



なぜ、そうなったかというと……。







高校1年生の秋。



いつもよりも1本はやい電車に乗って、通学した。誰もいない廊下を歩いたら、私だけがこの場所をひとりじめしている感じがして、少しわくわくした。



その調子で教室についたとき、ひとりで本を読んでいる有村を見つけた。



中学ではあまり話さなかったから、声をかけるべきかどうか、ずっと悩んで、教室にも入れなくって……ドアの影から、有村の姿をそっと覗いて、時が流れるのを待っていた。



『……あーっ!早く、背が伸びればいいのにな!』



突然大声をあげた彼と、その内容に驚いて『えっ!?』と言ってしまった私の目が合って、気まずさが漂った。



『……真端……』