恋しくば


熱は家の布団で眠るだけですぐに下がった。固より健康優良児なので、熱を出すことの方が少ない。

「治ったよ」
「それは良かった」
「ありがとう」

食堂はお昼と重なって人が増え始めていた。周りを見回す。
百鳥がそれに気づいて、怪訝な顔をした。

「辻本探してるの?」
「違う、昨日辻本の元カノに喧嘩売られてさ……」
「何それ、カドちゃんってどうして誰もいないときにそういう面白そうなことすんのかな?」

恥ずかしがり屋か、と上羽が言う。いや違うけれど。
昨日は近くのテーブルに座っていたけれど、今日はいないのか。