恋しくば


シーツをぎゅっと握る。手の甲が白くなるのが見えた。

よく頑張ってる、とか。頑張りすぎ、とか。
あなたは偉い、とか。
もう聞き飽きた言葉だ。

「葛野はもう少し、人に甘えた方が良い」
「……甘える? なんで?」
「全部何でも一人で決めてやってしまう姿を見るのは、確かにすごいことだが、傍にいる人間としてはとても寂しいから」

それは辻本が寂しい、という意味だろうか。

「あたしが甘えることで、辻本は寂しくなくなる?」
「過程が飛んだが、そういうことになる」
「意味が分からない」
「一人にならないでくれってことだ」

シーツを掴む手を掴まれた。