「辻本、娘をもつ父親みたい」
「おや……」
「入って。あ、玄関すぐそこだからちゃんと靴脱いで。うちは土足禁止だから」
「うちも土足禁止だ」
辻本の家と共通点があるなんて光栄だ。とりあえず辻本が靴を脱いで上がったのをみて、あたしも家に入る。そう何人も入れるような広い玄関では無い。
入ってすぐの場所にキッチンがある。その横を通り抜けるとリビング、兼寝室。布団は押入れにしまってある。
呆然と立つ辻本。あれ、なんか天井が低い感じがしなくもない。
板間なのだけれど、古い造りなので吊下式照明だ。紐を引っ張って点ける。



