今年高校三年の弟と、母がいる。
冬休みになったら、雪かきをする。そうしないと玄関から外に出られないのだ。
「雪か。寒そうだな」
「寒いんだけど、星がすっごい見えるの。プラネタリウム並み」
「いいな、行ってみたい」
少し弾んだ声に、辻本の方を見る。
ああ、こんな顔して笑うんだ、辻本って。
その柔らかい笑みに、心が解けそうになる。
「いつか、行ってみて」
それから目を逸らした。いつか、どこか、だれか。その言葉はあやふやで、使っても何の効力も持たないことを知っていた。
知っていて、あたしは友人に使う。



