周りを見回すと、隣に辻本が立っていた。今のは辻本だったのか。
「今にも倒れそうだった」
「ほんとに……ありがとう」
「どういたしまして」
苦笑された。腕時計を見るともうすぐバイトの時間。参考書とノートをしまって出口へ歩けば、辻本も出るらしい。
その背中を追うと、辻本が振り向いて歩を緩める。隣に並んで歩いた。
「バイトか?」
「そう、辻本が起こしてくれなかったら遅刻確定だった」
「夜の……バイト、辞めたのか?」
「上羽は何でも話すなあ……」
そして話している様子が想像できる。あたし達と辻本の話をするように、あたしのバイト話もしてるのだろう。



