恋しくば




電話を切って、講義室に戻る。百鳥の前の席に座った上羽がこちらを向いた。

「今度モモちゃんもカドちゃんの店行こーぜ、ドレス着て接客するカドちゃんが見られる」
「え、上羽行ったの? 家大丈夫なの?」
「いやいや……俺ん家皇族とかじゃないから……」
「あーキャバは辞めたんだ」

携帯をポケットにしまって、百鳥の隣に座る。
えー、と残念そうな声をあげる上羽と、こちらを見る百鳥。どちらからの視線も痛い。

「なんかあったの?」
「最近バイト詰め込みすぎたとこあったなと思って」

今はピザ屋とスーパーだけ。