上羽がにこにこしながらこっちを見ている。
「というより、京平は告白されたら誰とでも付き合ってるよ。彼女がいない時以外は」
「それって、本当なの?」
「少なくとも高校からは」
従兄弟上羽の証言は、辻本の否定がないことにより事実であることが確定した。
「つまり、自分の美に対して自信を持ってて我儘な女を引き寄せてる、と。寧ろすごい」
「そういう葛野はどうなんだ」
「あたしは花じゃないから。何も惹き寄せられない」
ことん、とグラスを置く音。あたしはマニキュアも塗っていない爪の先を見る。
顔面も体型も人並み、特に秀でた特技もないし。



