ふと隣を見た。その中に辻本がいることに、違和感を覚えてしまう。 「彼女と別れるかもしれない」 ぽつりと漏らされた言葉。 辻本が自分から彼女の話をしたのが初めてだったのでそれにも驚いたけれど、何よりその内容。 「え……なんで? まだ三日も経ってないよね」 「二日目だ」 「喧嘩とか、」 言いかけて考える。 いや、彼女の言うことならほいほい聞く辻本が、彼女と喧嘩をするわけがない。 付き合って終盤に、女が一方的に怒ることはあっても、だ。 「ああ」 その返事に目をぱちくりさせてしまう。