何か考えている様子ではある。チョコの数を数えてくれているらしい。
「数えてないから分からない」
「えー」
「葛野は誰かに渡したのか?」
「え? 確か市販のキットカッツを配り歩いてた気がする。百鳥とか上羽とか、辻本にもあげなかった?」
「貰ってない」
「そういえば、辻本は彼女がいたから、あげても受け取らないかなと思ってやめてたんだ」
辻本は正直なので、俺は義理も貰えないとか言いそう、と百鳥と話した覚えがある。
駅に近づくにつれて、店と人が多くなっていく。
サラリーマン、OL、塾帰りの中高生、様々な人の群れ。



