恋しくば


たまに辻本の彼女の話題で上羽たちと盛り上がっているし。

あの模試がこんな未来をもたらすなんて、あの頃のあたしは少しも想像できなかった。

「それ、どうしたんだ?」

手に提げていたのは、昼に上羽から貰ったチョコレート。

「上羽から貰った、この前データ送ったお礼だって。チョコレート好きだから嬉しい」
「……知らなかった」
「頭も働くし腹持ち良いし。バレンタインデーの男子とか羨ましいよ、辻本って去年何個貰ったの?」

駅へと歩き始める。辻本の家は二つ隣の駅。
質問の答えが返ってこないので横を見ると、少し後ろを歩いていた。