自分の中の矛盾した気持ちから目をそらす。
辻本は返事を待っていた。
「それに、明日提出のレポートまだ終わってないんだよね。わざわざ来てもらって悪いんだけど」
「……そうか、いや俺も急に来たから」
「ん。じゃあまた今度」
「待ってる、送ってく」
う、と声が漏れそうになった。確かに辻本は誰にでも分け隔てなく接するけれど、こういうのを望んでいるわけではない。
でもそれを伝えたところで、「夜は危ない」とか「勝手にすることだから気にするな」と言われて、結局こちらが折れることになる。
へんなところで頑固だから。



