恋しくば


へえ、と百鳥が頷く。上羽は首を捻る。

「俺はカドちゃんの方が可愛いと思うよ」
「何それ嫌味?」
「いやお世辞」
「はー、上羽にデータ送らなきゃよかった」
「あ、そうだ。そのお礼しに来た」

ほい、と上羽がカバンから出したのは某有名なブランドのチョコレート。
私の前に差し出す。

「いらないって。今度あたしのデータが飛んだときに助けてくれれば良いから」
「これ前にカドちゃんが美味しいって言ってたやつ」
「……頂きます」

受け取ると上羽の気は済んだらしく、ひらひらと手を振って食堂を出ていった。