たらればを考えればきりがない。
だから、あたしはあたしの出来ることを。
あたしに面している方の辻本の手を握る。この手は、今はあたしを助けてくれるはずだ。
「じゃあ、一緒に馬鹿を見てほしい」
こちらを向いた綺麗な顔が零れるように笑った。
こんな笑い方もするんだ。
「喜んで」
待ち合い室の外でバスの音がした。窓ガラスの向こうは真っ暗で、その夜空に星が見えることはなかった。
もうひとつ、確かなことが言える。
辻本は絶対、地元の星空を見たら驚く。
その表情を見てみたいと思った。
END.
20190131 恋しくば



