恋しくば


パスタメニューを見ながら考える。うちに来たら母がまた倒れそう。
何より辻本をもてなすような物は何もない。

「うちの家族はきっと大学辞めることに反対すると思うよ」

顔を上げる辻本がこちらを見る。

「そうか。なら説得じゃなくて加勢する。決まったか?」
「あ、うん」

ボタンを押すとすぐに店員が来た。それぞれ注文をする。
あたしはボストンバッグの方を見てから、窓の外に視線を向けた。

すっかり暗くなっている。夕暮れのオレンジが懐かしい。

「葛野には兄弟がいるのか?」
「いる、弟一人」

そういえば辻本にはお兄さんが二人いるんだっけ。