恋しくば


どこか決意じみた表情に、嘘を返すわけにもいかない。
言葉を返した。

「今日、実家帰るの」

鍵を入れて回す。ドアノブを先に掴んだのは辻本だった。

「え、何」
「実家って北の?」
「うん、夜行バス」
「じゃあバスターミナルまで一緒に行く」

ドアノブが捻られる。扉が開く。
あたしは家に入って靴を脱ぐ。玄関に立ち止まったまま辻本がこちらを見ていた。

「……分かったから、上がって待ってて」

大学に持って行っていたトートバッグは置いて、昨晩準備したボストンバッグを手にする。入ってるのは着替えと少しのお金とノートPC。