恋しくば


すたすたとカフェに入ってこちらのテーブルに近づく。

「カドちゃん! 会えたのが奇跡だ!」
「どうしたの?」
「今PC持ってる?」
「持ってるよ」
「先週のデータを早急に送って欲しい。全部吹っ飛んだ」

上羽があたしの隣に座ってPCを開く。あたしもPCを開いて操作をする。
PCにきちんと送られたことを確認して、手を併せた。

「ありがと! うわ、京平いたのか」
「お前が来るより前からいた」
「カドちゃん、京平また別れたらしいわヨ。本当何人女食えば気が済むんでしょうネエ」

意味深な言葉遣いをする上羽に、辻本が小さく溜息を吐く。