「別に。小学校から一緒なだけ」


あたしと恭平くんのカンケーなんて、この男が予想している通り。


だけどわざわざ言うようなことでは無い。


「それって幼なじみってこと?」


「そんな感じ」


神崎 恭平(かんざき きょうへい)


あたし達の通っていた小学校は小さくて、1学年に2クラスしか無かった。

小学5年生で初めて一緒のクラスになったけれど、よく話すわけでも特別仲が良かった訳でもない。

要するにただのクラスメイトって感じ。



そんなあたし達が関わるようになったのは、中学に入ってから。だから正確には幼なじみって表現も正しくない。



「へー。まぁ、いいや!俺も名前知ってもらってるから必要ないね」


当然!と言うふうに言うけれど…



「ごめんなさい。名前、分からないなぁ?」


傷つけないよう、一応言い方には気をつける。


「…プッ。やべー、瞬サイコーかよ。霜華が有名なだけで瞬のことは知らないってさ〜自意識過剰かよ〜」


お腹を抱えて笑う悪魔。

うわー、すごい言われよう…。


…ん?

てか、今"瞬"って言ったよね?

どこかで聞いたような…


「あぁ」


そういえば、あの女たちがそう呼んでたわ。

なぁんだ。心の中でずっと金髪って呼んでいたけど、あたしこの人の名前知ってんじゃん。