「突然気絶するから何事かと思った。もう平気なわけ?」
「お陰様でね。介抱の方、どうもありがとうございました」
にっこり微笑むと、ベットから出て、出口であろう扉の方に向かおうとした。
だけど、「待て」の言葉と共に再び手をとられた。
1度眠っていたからか、さっきほどの恐怖心はない。今なら冷静に対応出来る。
そう思ったけれど、男は何かを察したのか、それともさっきまでのあたしの態度を思い出したのか「あ、悪い」と、申し訳なさそうに手を離した。
「…別に平気。それにその…。さっきはごめんなさい」
これは、偽りとか、演じて言うんじゃない。心から思っている言葉。
掴まれた手を振り払ったわけだし。
それに、どこか痛めたとしても、あとから責められたくない。
「ん?なにが?」
ただこの男はそんなこと気にもとめていなかったのか、不思議そうに首を傾げる。
「思いっきり振り払ったの…。そのせいでケガとかしてたら嫌だなって…」
たったの数秒。
だけど、その数秒がとても長い沈黙に感じた。

