行為が終わると、隣でスマホをつつく彼に、ぎゅっと抱きついた。


直接伝わる体温。

大きな背中。

鍛えられ、程よくついた筋肉。


この全てがあたしのものになることは一生無い。



「なに?」


温もりがあるのかないのか分からない一言。

少なくとも、さっきまで抱いていた女に向けた言葉じゃないと思う。




恭平(きょうへい)くんってさ、あたしとどれだけカンケー持っても彼女にはしたがらないよね」


「突然なに?」


「べっつに〜…」


彼から離れると、側にあったクマのぬいぐるみを抱きしめる。ほのかに香る甘い香水の匂い。最近、他の女からもらったものだろう。