「その綺麗な顔を蓮叶さんとの再会前にぐちゃぐちゃにしてやるっ。幻滅されればいいんだっ」
「やめろ…っ!」
縛られたまま、男を蹴飛ばす唯花。
だけど、少しふらついただけで、簡単に体勢を立て直す。
「てめぇ、舐めたマネしやがってっ!お前から始末してやる」
唯花を睨みつける鋭い目つき。
やめて……。
あたしはもう、誰かが傷つくところは見たくない。
「……なにやってんの?」
男が癇癪を起こすと同時に聞こえた、別の男の低い声。
あたしはこの声を知っている。
あの時と、変わらない低い声。
だけど、冷たさとか恐怖を感じさせない。
あの時は、二度と会えないと思っていた。
「……蓮」
目の前に立つ、彼の名前を口にする。
「……柚姫」
あたしを見つめる蓮の瞳が揺らいだ。
どうしてそんなに、悲しそうな目であたしを見るの?
蓮の瞳は悪を感じさせない、優しい瞳をしていた。

